市原リウマチ研究所
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  2006年12月号(1)
日本医事新報掲載  
 
   
   
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座談会「最新のRA治療戦略」(2006年12月号)  
 
斉藤輝信先生(司会)
独立行政法人国立病院機構西多賀病院リウマチ疾患研究センター長

神戸克明先生
東京女子医科大学東医療センター整形外科助教授

斉藤和義先生
産業医科大学第一内科助教授

岡寛先生
聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター講師 (発言順)


 
 齋藤(輝) 関節リウマチ(RA)の治療においては、現在さまざまな種類の薬剤が使用できるようになっています。通常の抗リウマチ薬(DMARD)に加えて、最新の治療薬として生物学的製剤も使用可能になっていますが、その使用はDMARDで効果がみられない場合に限られています。そのような中で、RAの初期治療においては依然として非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が重要な役割を担っています。
 
RA治療におけるNSAIDの使い方
齋藤(輝) まずはRA治療におけるNSAIDの使い方について、神戸先生、外科的な立場からいかがでしょうか。
神戸 整形外科では手術を行いますので、術後のコントロールとしては比較的効果が強いものを短期間に使用することがあります。しかし、RAの治療においては基本的には整形外科も内科と同じで、まずコントロールのところまでもっていくことが非常に大事だと思いますので、効果時間が比較的長く副作用が少ないCOX-2阻害薬メロキシカムなどのNSAIDの使用を考えます。
齋藤(輝) ガイドラインにもありますように、初診時でまだ診断が確定しない状況では、痛みと炎症に対してNSAIDで対応し、強い炎症があってその病態がどうしても抑え切れないような場合にはステロイドを加えていくというやり方がスタンダードな方法だと思います。そして、RAの診断がついたらDMARDを選択・開始するという手順になっていると思います。
 
内科の立場から、齋藤(和)先生はいかがお考えでしょうか。
齋藤(和) 内科の立場から考えると、ある程度長い期間にわたって疾患をコントロールしていくことを念頭に置きながらNSAIDを使っていく必要があります。その場合には副作用も問題になるので、基本的にはCOX-2阻害薬で開始します。効果不十分などの原因で他のNSAIDが使用されている場合でも、ある程度疾患をコントロールできるようになれば、漸次COX-2阻害薬に移行していく、あるいは飲み方も1日3回から2回、1回と減らしていくといったことが必要になってきます。
齋藤(輝) 岡先生はいかがでしょうか。
RA治療薬の進歩によって、NSAIDは補助的な役割になりつつあります。しかしRAの患者さんの主訴は痛みですから、主訴である痛みをコントロールして日常生活動作(ADL)を改善するという意味で、NSAIDの役割というのはまだ大きいと思います。とくにメロキシカム、エトドラクなどのいわゆる選択的COX-2阻害薬では胃腸障害が少ないことからも、RAのような長期投与が必要とされる患者には適しています。セレコキシブは今後日本で導入される予定ですが、コキシブ系薬剤は高い選択的COX-2阻害作用をもつ反面、心血管イベントが増加するというデータも報告されており、ロフェコキシブは発売が中止になりました。その一方でメロキシカムは選択的COX-2阻害作用をもちながら血小板凝集に影響を与えず、胃腸障害を減少することで、非常に優れた薬剤ではないかと思います。現在私が治療中の160人のRA患者では、約40%がCOX-2阻害薬のメロキシカムあるいはエトドラクを使用しています。(図1)。
齋藤(輝) 齋藤(和)先生は、生物学的製剤について臨床的にも薬理学的にも、あらゆる面で検討されていますが、その中にあってのNSAIDの位置づけについてはどのようにお考えでしょうか。
齋藤(和) かなり活動性の高いリウマチの患者さんでも、いきなり生物学的製剤を使うことはまずなく、最初はやはり関節の痛みや炎症を抑えるための初期治療としてNSAIDによる治療が開始されるわけです。しかし、RAの病態を考えれば自己反応性リンパ球を抑えるという意味でDMARD、免疫抑制薬、あるいは生物学的製剤による治療が必要になってきます。DMARDは必須なのですけれども、効果発現までには少し時間がかかるということで、NSAIDを併用しながら初期治療を開始するということになってきます。
一方、自己反応性のリンパ球がきちんと抑えられれば、NSAIDは対症治療ですので必要なくなります。最近、早期のRAではインフリキシマブなどの生物学的製剤による治療が奏効してNSAIDを中止できた症例も経験します。その際、どのような順で使用薬剤をを中止していくかというと、まずステロイドを使っている場合はそのステロイドを減らして中止する。NSAIDを使っている、あるいはメトトレキサート(MTX)以外のDMARDを使用している場合はそれを外す。そしてNSAIDも外す。そういう形で中止して、最後にMTXを残してインフリキシマブを中止するようなことを考えています。
齋藤(輝) 岡先生はNSAIDを用いたRAの治療戦略についてはいかがお考えでしょうか。
リウマチの治療には2つの目的があると思います。1つは関節の炎症・疼痛を抑えることで、もう1つは長期による骨破壊を抑制してADLを保つことです。NSAIDやステロイドの使用は、前者の目的には合致しているわけです。
具体的には、齋藤(和)先生と同様に私もMTXや生物学的製剤で寛解になった症例に関しては、まずプレドニゾロン1mg錠を用いてステロイド投与量を2〜4週間に1mgずつ下げていって、限りなくゼロに近ずけるようにします。これによりゼロになる症例もありますし、ならない症例もあります。
その次に私は、ロキソプロフェンやメロキシカムを飲む日と飲まない日をわけるのですね。通常は飲んだ日と飲まない日で症状に差がありますから、飲まない日でも症状がそれほど変わらないということであればNSAIDを中止します。そういった寛解度の高い症例ではNSAIDが必要なくなることもありますが、生物学的製剤を導入できる患者さんも全体からみればごく一部ですので、依然としてNSAIDの役割というのはかなり重要だと思います。
齋藤(輝) 神戸先生はいかがですか。
神戸 最近では生物学的製剤による治療法も変わってきたと思います。今までは、とくにStageが進んでいる患者さんに使用することが多かったのですが、最近ではStage II以下の比較的早期で指の変形が進んでいないような患者さんに対する寛解導入療法として、生物学的製剤を積極的に使うようにもなってきています。ただし、そのためにはMTXの使用が必須であり、MTXを使わないと生物学的製剤を使っても骨破壊は改善されません。
Stage I,IIの方に対してステロイドは使わないので、MTXを使うまでのコントロール導入のためにCOX-2阻害薬のような副作用の少ないNSAIDを使います。そして、生物学的製剤まで導入できれば、NSAIDを中止します。
Stage III以上の変形が進んでいる患者さんの場合は、すでにステロイドを使っている方が多く、ステロイドをすぐに中止するとコントロールしにくいので、生物学的製剤を導入しても徐々に減らしていきます。NSAIDについては、すでに長期間服用していて患者さん自身も中止するのをいやがることがありますので、そういった意味でもCOX-2阻害薬が適していると思います。
 
RA治療におけるDMARDの使い方
齋藤(輝) DMARDの使い方についてはいかがでしょうか。
齋藤(和) 当科では間質性肺炎がない、あるいは極度の腎障害がないような患者さんには積極的にMTXを、とくにリウマチの活動性が強い方には迷わずに使っています。あとはサラゾスルファピリジン、タクロリムスなどを使っています。
リウマチの活動性を仮に弱、中、強と分けるとしますと、弱から中の間くらいまでであればブシラミンが奏効してMTXを使うことなく完全寛解となる場合もあります。
サラゾスルファピリジンは比較的早く効く印象がありますが、1〜2年後で効果が継続しているのは40%ぐらいですので、長期のリウマチ治療を考えると疑問が残ります。その点はブシラミンのほうがまだ効果継続が長い感じですので、私はブシラミンの使用頻度が高いです。もちろん、活動性が中等度以上のRAであれば、ほとんどはMTXが第一選択薬になります。
齋藤(輝) 神戸先生はいかがでしょうか。
神戸 確かに治療に関しては早期からのRA治療ということで積極的になっているのですが、早期のRAをいかに診断するかというところが難しい点だと思います。今までの早期RAの診断基準ですと、3つ以上の関節痛、あるいは2つ以上の腫脹があるという基準でしたので、当てはまらないケースも多かったのですが、個人的には、例えば1つのMP関節が痛いだけでも、朝のこわばりがあって、レントゲン上で骨萎縮があって、CRPが1.0以上であれば、早期のリウマチとして治療すべきだと思います。
当科ではCRPが1.0以上であれば、MTXを積極的に使い生物学的製剤を併用して骨破壊を抑制して寛解を導入するという形をとっています。CRPが1.0未満の場合で、とくに0.5前後の場合にはブシラミンやサラゾスルファピリジンでも寛解まで導入できる可能性はありますが、ブシラミンには関節破壊を抑制するというデータがありませんので、CRPが上昇傾向をみせた時点で患者さんと相談して、早めにMTXに切り替えるという措置をとっています。
齋藤(輝) リウマチの活動性が高いか、低いか、その程度によってDMARDの選択を行うということでしょうね。
   
免疫抑制薬については、使い分けを含めていかがでしょうか。
わが国で使用されている免疫抑制薬は、MTX,レフルノミド、タクロリムス、それから私は個人的にシクロスポリンを使っているのですが、これらの免疫抑制薬は従来のDMARDよりも骨破壊の抑制効果において優れたエビデンスがあり、切れ味が鋭いと思います。私はRAの炎症が中等度以上であればMTXを第一選択としています。しかし、RA患者では40%ぐらいに肺病変が認められるともいわれていますので、そういったMTXが使えない場合にはタクロリムスやシクロスポリンを使います。
齋藤(輝) 副作用についてはいかがですか。
タクロリムスに関しては、胃腸障害、腎障害、血圧という副作用の三大症状があるのですが、最初に3mgくらいを使ってしまうと、胃腸障害でドロップアウトしてしまいます。私の場合、全年齢層1mgから漸増法でやりますと、それほど胃腸障害も出ませんし、腎臓への影響も用量依存性ですので、クレアチニンやシスタチンCなどのマーカーもチェックすることで回避できます。
ただ、タクロリムスに特徴的なのは血糖への影響で、糖尿病の家族歴がある方や境界型の方は悪化しますので、そういった方はどちらかというとシクロスポリンのほうが適しています。一方、血圧が高めの方については、どちらかといえばタクロリムスのほうが適していると思います。
齋藤(和) タクロリムスは比較的早く効く方とゆっくり効いていく方の2つに分かれるとわれわれは考えているのですが、ゆっくり効く方は、かなり傾きが緩やかでも、右肩上がりによくなっていく例が多い印象ですね。
齋藤(輝) なぜ2通りあるかというのは、まだわかっていないのでしょうか。
齋藤(和) 早めに効く方に関してはステロイドがベースに入っていることが多いのですが、おそらく薬剤低抗性が部分的に解除されるのではないかと考えています。
齋藤(輝) レフルノミドについてはいかがですか
有効性が高くて安全性が高い薬が仮にあるとすれば、もちろんそれが一番よいわけです。しかしレフルノミドに関しては、MTXと同等の骨破壊防止効果が確認されていますが、残念ながらこの薬は、間質性肺炎、アレルギー反応、重症肝障害など、さまざまな副作用が出ています。なぜかというと、この薬は非常に半減期が長く、そして蛋白結合率が高いという特徴をもっていますので、わずかな量が体に残っていてもアレルギー反応が遅延していまい、間質性肺炎の30%以上が死亡ということになってしまったわけです。通常、薬剤性肺障害による死亡率は10%未満ですから、いくら有効性が高くても、安全性が著しく低い薬というのは選択できないということになってしまいます。
   
生物学的製剤の使い方
齋藤(輝) 生物学的製剤の評価と使い方については、いかがでしょうか。
齋藤(和) 現在わが国で使用可能な生物学的製剤は、抗TNF抗体製剤であるインフリキシマブと可溶性TNF受容体製剤であるエタネルセプトがあります。インフリキシマブをしばらく使用していると、わが国では3mg/Kgまでしか使用できないこともあって効果の減弱例が出てくるのですが、その場合にエタネルセプトに変更すると、かなりの方に効くという印象があります。
2003年7月にRAの治療薬としてインフリキシマブが出た時にはinfusion reaction が相当心配されていて、一時入院加療していたのですが、5.000例の集計をみてもinfusion reactionが直接死因になった症例はありませんでした。ただ、インフリキシマブはキメラ抗体なのでMTXの併用が義務づけられており、MTXfailureの方には投与することができません。そういう意味では、エタネルセプトは単独使用も可能であるということと、薬剤のアレルギー的な要素も比較的少ないので、実際の処方もエタネルセプトのほうが多くなっています。
齋藤(輝) 整形外科ではいかがですか。
神戸 当科では寛解導入寮法ということでStage I、IIの早期RA患者に対してインフリキシマブを多症例使うようになってきました。寛解の定義がまだ十分でないために、どこで生物学的製剤を中止すればよいかは難しいところですが、CRPが陰性化して6ヶ月以上経って、疾患活動性スコア(DAS28)が2.6未満になった時点でインフリキシマブを中止したところ、3人寛解に入りました。そのうち2人はStage IIの方で寛解が維持されているのですが、Stage IIIの方では徐々にCRPが上昇してきました。
ですから、生物学的製剤の適応については、Stage II以下の場合は早期RAに対する寛解導入に使うもので、Stage III以上の場合はCRPや炎症をコントロールするために長期に使うというように分けられると思います。そのほかに生物学的製剤を使用していて効果が減弱した症例に対する治療としては、当科では手術を行っています。とくにリウマチでは関節の滑膜の増生が骨破壊に関係してきますので、滑膜から出てくるサイトカインなども除去してしまってから薬剤を使ったほうが有効ではないかということで、鏡視下滑膜切除術を行って、それが有効だったということがわかりました。手術によって進行した骨の変形は治せませんが、骨破壊は若干抑制できるようになると思います。
確かにASPIRE試験などでも早期RAに対するインフリキシマブの有効性が示されていますが、Stage IIIやIVのRAの進行例でも新たな骨破壊を抑えるという意味では、インフリキシマブによる抗TNF抗体療法が有用だと思います。
齋藤(輝) 例えば10.000例のRAを進行度により層別化し、インフリキシマブ投与により、それぞれがどのような骨の修復をたどったか、あるいは新たに生じたびらんなど、どのような修復ないし維持するかを解析していくと何か方向性が出てくるのでしょうね。
 
副作用についてはいかがでしょうか。
神戸 インフリキシマブを使うとinfusion reactionが10%近く出ますので、抗アレルギー薬を使うなどして対処しています。エタネルセプトを使う時に注意しなければいけないのは、MTXと併用している患者さんは副作用がそれほどないのですが、MTXを使っていない患者さんでは、血圧の変動や発熱などの副作用がみられることがあります。
当科では、エタネルセプト使用例の約70%がMTXとの併用で、約30%が単独投与ですが、それぞれで副作用のレパートリーが違うということはありません。むしろMTXを乗せることによって、日和見感染、一般細菌感染のリスクが増すことになるので注意が必要だと思います。
インフリキシマブは、アジア地区で初めて5.000例のPMSデータがまとめられて、この際に結核が14例と、ニューモシスチス肺炎が22例出ました。結核に関しては、prescreeningが弱かったという印象がありますので、prescreeningをしっかりとしてイソニアジドを投与していれば、それほど爆発的に増えることはないと思います。ニューモシスチス肺炎は今までの諸外国の報告よりも多かったのですが、わが国においては早期診断が非常に発達していたおかげで、全例回復しました。これはわが国が諸外国に発信する重要なメッセージではないかと思っています。
齋藤(輝) そういうものを世界に向けてどんどん発信しないといけないでしょうね。
   
手術に関しては、生物学的製剤を使うと感染症を引き起こしやすいともいわれていますが、どうなのでしょうか。
神戸 インフリキシマブ投与中の手術について多施設でアンケートをとった結果、投与間隔8週の間の4週目に行っている施設が一番多かったということで、そこがよいのではないかと思います。どれぐらい間隔をおいたら安全かということは、100%ではないのですけれども、やはり1ヶ月は、インフリキシマブの場合には間隔をおいたほうがよいと思います。
将来的には生物学的製剤の使用によりRAの進行例が減少し手術の選択が少なくなることも考えられますが、現状ではまだ進行している患者さんがたくさんいらっしゃいますので、そういう方は生物学的製剤と人工関節置換術などの手術を併用することによってADLを改善させる必要があると思います。
インフリキシマブの効果減弱例に関しては、その理由の1つとして血管増生が多いということがありますので、滑膜切除術を鏡視下で行うとCRPが再度改善する可能性があります。また生物学的製剤を使っても個々の関節の痛みが残るような関節破壊が進んだ症例に関しては、人工関節置換術により滑膜切除術と同じような効果がみられますので、外科的手術と薬物の併用療法が重要だと思います。
   
RA治療における医療費の問題と今後の課題
齋藤(輝) 医療費の問題についてはいかがでしょうか。
インフリキシマブの有効性はうたがうところがありませんが、難点は非常に高価であるということです。年8回で医療費として1.820.000円、それプラス注射代があるので、もし高額医療制度を適用したとしても、家族3割負担と考えて400.000〜500.000円ぐらいの実費負担になるのですね。あと、エタネルセプトは96回打つと考えますと、1.470.000円プラス自己注射指導料が約100.000円ということで、1.570.000円の3割負担でも、やはり471.000円ということになるわけです。そうしますと、これらの医療費をコンスタントに出すということになると、例えば年金生活者にような方ではなかなか難しいという問題があります。ですから、この2剤がいかに優れていようとも、コストの問題というのは大きくのしかかってくるのですね。
それから内服薬のタクロリムス、先ほど申し上げましたが、MTXと重複がなくて非常に優れた薬なのですが、これはもともと臓器移植時に使用するものを転用したので、非常に高価なのです。3mgを1年間投与すると1.083.600円になります。それもあって、われわれは少しでも少ない量で、あるいはMTXと併用することによって相乗効果があるという成績が米国のstudyで出ていますので、そのような方法で、今後そういうコスト面からみた使い方を考えていかなければならないと思います。
齋藤(和) 国家レベルで考えると、例えば日本リウマチ友の会で行った10.000人規模の調査ではRAになって離職した、あるいは廃業したという方が25%ぐらいいるのですね。また最初から就職する気がなくてしなかったという方もいますので、きちんと治療して、そういう方が働いて保険料を支払うことができるようにするというのが、1つ大きなことだと思います。個人レベルでは、例えば生物学的製剤を使用していて、それをやめられるか、やめられないかというのが大きな問題になると思います。こういう患者さんにこういう使い方をしたら生物学的製剤をやめられるというエビデンスが出てきたら、それは医療経済的にかなりプラスに働くと思います。
齋藤(輝) これまでお伺いしてきたことも含めて、今後のRA治療における課題についていかがお考えでしょうか。
まずMTXに関しては、非常に優れた薬なので、肺病変があっても使うこともあります。その場合に肺病変がある症例をどのように扱うかという問題があります。それからインフリキシマブは、効果減弱例に対して増量する幅というのが、まだ日本人において十分なデータがないのですね。これは現在治験を行っていまして、結果があと2年ぐらいででると思います。エタネルセプトは、日本の治験でMTX単独と、10mg週2回、25mg週2回という3郡に分けた結果、10mg2回と25mg2回はほとんど同じぐらいの効果だったにもかかわらず、25mg2回が通常用量なのです。ですから、今後は10mgの週2回とか、25mgの週1回という投与法が日本人に合った用量として検討されるべきではないかと思います。
神戸 私はやはり今後の課題としては、今までよりもさらに早期のRAを診断できる能力をつけるという医師側の問題だと思います。それに対して、生物学的製剤をどういう適応で使用するかがこれからの課題になると思います。開業医の先生方やリウマチの専門医でない医師が診断に困るということがありますので、例えば地域連携でリウマチ専門医にいろいろ相談できるようなシステムを作るということもよいのではないでしょうか。
齋藤(和) 当科の場合、現在治験も含めて約300名の患者さんへ生物学的製剤を安全に効果的に導入しています。われわれは大学を中心とした半径50Kmの範囲の基幹病院に膠原病を開かせていただいて、そこで生物学的製剤の適応のある方をみつけて、大学病院で投与して、安定した方は自宅に近いそれら基幹病院で投与を継続しました。各地で同様なシステムを作っていけば比較的安全に導入できるのではないかと思います。
齋藤(輝) 本日はRA治療の最先端でご活躍中の先生方に最新の治療法についてお話いただき、実地医家をはじめ多くの先生方のご診療にお役立ていただけるものと確信しております。同時にいくつかの課題も残りました。これらを乗り越えられるように、先生方にはさらなる臨床研究のご発展を祈念して、この座談会を終わらせていただきたいと思います。
 
   
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